FLTMSTPC=「Fais le toi-même si t'es pas content=満足できないなら自分でやっちゃえ」。批評、映画雑誌の編集、翻訳、そして製作と様々な方法で映画と関わっている松井宏さんが「カイエ・ デュ・シネマ」の記事などを起点に、映画を作る/見せる/観ることについて探っていきます。
今回の話題は三宅唱監督の演出実習や最近観た『ミスター・ミセス・ミス・ロンリー』(神代辰巳監督)、『ハッピーアワー』(濱口竜介監督)から考えた、映画の中の"友人関係”、その関係を見せる俳優の演技について。








俳優への愛 その1


文=松井宏


 先日ふと、映画監督の三宅唱による映画美学校のある講義に、生徒たちにまじって参加する機会を得た。モグリである。受講料も払っていないのに大変申し訳ない。
 それは講義というか実習というか、簡単にいうと、あるシーンをアクターズ・コースのふたりの俳優さんに演じてもらい、そこに少しずつ演出を施していきながらなにがどうなって、どんなことが生まれていくのかをみるような、そんな時間であった。シーンといっても、ひとりの男が昼休みかなにかに喫茶店かどこかに座っていて(もちろん実際の喫茶店のなかにいるわけではなくて、そういう設定ということ)、別の男(職場の同僚)がやってきて、5〜6回の台詞のやり取りをして、そして去ってゆくという、2〜3分の短いもの。こういうものを俳優さんたちは「エチュード」と呼ぶのだろうか。詳しくはわからない。要は、カメラうんぬんではなく、まずは俳優さんたちと密にやり取りをしながら、そもそも演技演出というのはいったいなんなのかを考えてみよう、ということか。

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