梅田哲也さんの連載「ほとんど事故」の第19回目です。今回は、大阪中之島で5日間に渡り行われたナイトクルーズ・パフォーマンス『5つの船』より、川について、それと交わる能楽師や音楽家たちの発する音や身体動作などについて書いてくれています。同じく出演者であり、boidマガジンにも連載中のヒスロムは夜の川の静けさのなか、突き抜けた躍動感に溢れるパフォーマンスをしたようです。
文・写真=梅田哲也
ヌートリアは大きいとしっぽを入れて1メートルほどあるもんで、泳いでると、ネズミというよりは、ラッコやカワウソのような生き物にもみえる。船が停泊する隙間でプカプカ浮いているのは、近所のおじさんたちに餌付けされて住み着いた家族らしい。こいつら、俺が知ってるだけでもう5世代めくらいちゃうかな。えらい長いこと潜りよるやろ、素潜りの名人やで。もともとは戦時中に毛皮を生産するため持ち込まれた外来種で、絶滅危惧種のタナゴの生態をおびやかすとか言われる嫌われ者たち。ツアーは5日間毎日、ここで彼らに挨拶をすることからはじまる。出発点となる船着き場へと向かうなか、船長はときどき立ち上がって、足でハンドルを操作する。このほうがよう見えんねん。時々な、川鵜が飛んできてウナギをパクーって捕まえて飛んで行くのん見るで。あいつらは、ウナギ取りの名人やで。ウナギはようけおるよ。淀川のウナギは食べさしてもうたことあるねんけど、びっくりしたな。今まで結構いろんなところで食べたことあってんけど、どこの店で食べたウナギよりおいしかったわ
2018年12月号
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