最新短篇集『へんてこな この場所から』(文遊社)を上梓されたばかりの小説家・桜井鈴茂さんの新連載「サバーバン・ブルーズを蹴散らしながら」をお届けします。桜井さんが長年お住まいの、そしてその小説の中でも度々登場する東京郊外の風景の中から生み出されるエッセイ……になるはずですが、いきなり引っ越しの予定が明かされたりと、今後どのような展開を見せるのか予測できません……が、まずは東京郊外の曇天の朝の出来事から――
文・写真=桜井鈴茂
ぼくは東京郊外に、といっても三多摩エリアではなく、多摩川を越えたところの神奈川県川崎市に、住んでいるので、当エッセイのタイトルをこのようにさせてもらったが、しかし、現在、我が家は種々のやんごとなき事情で――それについては(たぶん)おいおい書きます――売りに出されており、早ければこの拙文が皆さんの目に触れるころには、すでに郊外の住人ではなくなっているかもしれないことを、だからつまり、最寄り駅が神保町とか六本木とかになっており、サバーバン・ブルーズなんてどこ吹く風、アーバン・ライフを多いに満喫してる可能性だってなくはないことを、あらかじめ断っておこう。
2018年12月号
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