梅田哲也さんの連載「ほとんど事故」の20回目です。梅田さんが展示とパフォーマンスでアートフェスティバルTSONAMIに参加するために訪れたチリのバルパライソで出会った人たちとのことについて書いてくれています。街で暮らす大道芸人、災害と共にある生活、言葉の理解が未熟だからこそ伝わる気持ちと、コミュニケーションのありようについて。



文・写真=梅田哲也

バルパライソの滞在も終盤になって、とくになにをするでもなくただ、ぼーっと湖のボート乗り場で座ってると、メガネをかけた女性が近づいてきて、これあげる、と小さな青色の石をくれた。彼女はにこにこ笑ってるんだけど、どうやら英語が話せないらしく、スマートフォンの画面に表示される日本語や英語に翻訳された文字を見せながら、この石を僕に渡そうと決めて持ち歩いていた、ということを伝えてくれた。彼女は人類学をやってるらしく、でもそれが仕事なのかまだ学生なのかはわからない、そういえば名前も聞き忘れてしまった。石が好きなの?と訊いたら嬉しそうに、Si-Si、と頷いて、またスマートフォンを見せながら、スペイン語で話す。これはチリともういくつかの国でしか見つけられないラピスラズリという石で、持ってるといいことがあるのよ。どうして僕に、とおもったけど、どうやら先日の僕のパフォーマンスをみて、この人はきっと石が好きだろうな、とピンときた、ということらしかった

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