FLTMSTPC=「Fais le toi-même si t'es pas content=満足できないなら自分でやっちゃえ」。批評、映画雑誌の編集、翻訳、そして製作と様々な方法で映画と関わっている松井宏さんが「カイエ・ デュ・シネマ」の記事などを起点に、映画を作る/見せる/観ることについて探っていきます。
これまで2回に渡って「俳優への愛」と題された「カイエ」の特集記事を踏まえながら、演技に自然さは必要かといった問題について考えてきましたが、今回はひとりの女優にスポットを当てます。彼女が自身の演技について語ったインタヴューから、松井さんが思いついたアイデアとは――








俳優への愛 その3


文=松井宏


 唐突に、グレタ・ガーウィグである。
 いや別に唐突でもなくて、前回前々回と取り上げている「カイエ・デュ・シネマ」691号(2013年8月号)の俳優特集では、グレタ・ガーウィグのインタヴューがあるのだ。ガーウィグといえば、まずはやはりノア・バームバック『フランシス・ハ』(2012)を思い出すだろう。ぼくは『フランシス・ハ』が好きだ。いちばん最近では、あの、嫌いになろうとしてもどうしても嫌いになれない作品、ミア・ハンセン=ラブ『EDEN/エデン』(2014)のガーウィグ。彼女が出ているシーンはとても良かった。そういえば『ハンナだけど、生きていく!』(2007/ジョー・スワンバーグ)も、つい先ごろ公開されていた。彼女はとりわけジョー・スワンバーグの作品によって、いわゆるマンブルコアのミューズ的存在だったようだ。そして『ベン・スティラー 人生は最悪だ!』(2010)からはバームバックのミューズとなり……、まあそれはそれか。
 さて、今回の原稿でこの俳優特集について書くのを終わろうと思うのだけど、じゃあなぜ最後にガーウィグなのかというと、うーん、なんだろう、彼女のインタヴューを読み直しながら、ふっと、ひとつ思いついたことがあったのだった。


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