ウルトラ・マグネティックMC’s『ファンク・ユア・ヘッド・アップ』
ラップ/ハウス レヴュー
文=湯浅学
※アルバムタイトルがアーティスト名と同名の作品、もしくは、コンピレーション作品はアーティスト名を省略。各レヴューの末尾の数字は10点満点中の点数。(V)=ヴィデオ作品
ウルトラ・マグネティックMC’s『ファンク・ユア・ヘッド・アップ』
ブロンクスの顔役的なグループの久々の新作。なめらかさなどまるでない。ひずんだ音が多数交差する。しかも基本的なサウンドが重いのだから、よけい説得力は増す。全体の空気はとても殺伐としているようで、とても密度が濃い。これはかなりの傑作だ。(9)
2パック『ツパカリプス・ナウ』
映画『ジュース』に主演して一躍有名になった、デジタル・アンダーグラウンドの一員のソロ・デビュー作。シリアスで、多少演技過剰なところもなきにしもあらずだが、充実した作品が揃っている。音作りはスッキリしているが、腰が入っている。(8)
ロウ・フュージョン『ライヴ・フロム・ザ・スタイリトロン』
これもデジタル組。マネー・BとDJ・フューズによるユニット。音の構造はとてもしぶとく粘着質。ファンク度がかなり高い。ラッピンはさほど鋭い感じはしないのだが、これまたとぼけたシリアスさを持っている。(8)
オーガナイズド・コンフュージョン『O・K』
クイーンズのジャマイカ地区出身の2人組。妙な詩心を持ったライムと、心にくいR&B臭フュージョン臭あるサウンドとのマッチングがたいへん興味深いもの。芯はなかなか落ち着いた趣を持っている。快作。(8)
ファム・リー『ランズ・イン・ザ・ファム・リー』
故グレン・ゴインズの甥の4人兄弟グループ。ニュー・エディションというよりもジャクソン・ファイヴに近い。いなたさが拙さをカヴァーしてあまりある。ラップは上手なほうではない。(7)
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