「大音海の岸辺」第24回の最後は、『ミュージック・マガジン』93年7月号~9月号掲載の「ラップ/ハウス」レヴューを、湯浅さんが今回新たに書き下ろした解説とともにご覧ください。解説では、90年代初期のヒップホップ作品をめぐる状況に加え、当時ニューヨークと東京を行き来する生活を送っていた湯浅さんがよく聴いていたラジオの話なども書いてくれています。

ザ・ラスト・ポエッツ『ホリー・テラー』



文=湯浅学


フレイヴァー・ユニット『ROLL WIT THA FLAVA』
 クイーン・ラティファが社長になって、改めてレーベル、マネージメント会社として仕切り直されたフレイヴァー・ユニットの設立記念的作品。ラティファ、ヘヴィD、D・ナイス、ノーティ・バイ・ネイチャーなど人気者多数参加。さすがに多彩多芸。気軽に楽しめるが骨っぽい。(8)

ティム・ドッグ『DO OR DIE』

 ブロンクスの巨匠による超ハードコアのセカンドには、KRS-ワン、スムーズ・Bなどが参加。ファーストより聴きやすい仕上がりだが、重心低い、夜の底の街路の臭いの如き空気感は不変。存在自体の迫力ゆえであろうか。拳骨系ラップの力作。(8)

フリーダム・ウィリアムズ『FREEDOM』

 C&Cのラッパーのソロ独立デビュー作。クール・モー・ディーがやや軟派になった感じのラッピン。アシュフォード&シンプソンも参加しているが、自身のプロデュースによるニギやかで楽しい曲揃い。(7)

グレッグ・オズビー『3-D LIFESTYLES』
 ジャズの人がヒップホップやってる、のではなく、ヒップホップとはジャズなのだ、という作品。ア・トライブ・コールド・クエストのアリがいい。エリック・サドラーのサウンド作法にもここでは新展開がある。サックスを聴かせようというより、現在のジャズに対する愛情、その両方が感じられる怪作。(8)

ヤングMC『ホワッツ・ザ・フレーバー』
 2年ぶり、通算3作目。人気者だけに手がたく行くかと思ったら、この人もATCQのアリと4曲もつるんでいる。それらはもちろん良作。自身のプロデュース作はやや非力だが、渋さを利かせて、それなりのひねりはある。ニュー・スクールのサンプリング作品。(7)

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