空族製作、富田克也監督の『バンコクナイツ』の撮影が終了した。タイを舞台にしたこの映画のタイでの撮影中、毎週送られてくる現場報告からは、彼らしかできない撮影の緩やかさと厳しさと賑やかさが伝わってきた。かつてあったスタジオでの映画作りのシステムの中で映画を作るのではない、自分たちが自分たちのペースとやり方で自分たちの映画を作ることの面白さが、そこからははっきりと伝わってきた。 しかしそれは単に自分たちの映画を作るということに収まらない広がりを持つ。バンコクの夜の繁華街、イサーン地方の村など、多くの人たちを巻き込み、その気にさせ、そして彼らにバックアップしてもらっての映画作りである。その厳しさと責任をたっぷりと背中に背負っての撮影。一体それがどんなことになっていたのか、まずは具体的な撮影に関して、脚本担当でもある空族の相澤虎之助氏に話を伺った。


聞き手=樋口泰人


――撮影のためにタイに行ったのはいつになりますか?

相澤 スタッフがみんな来たのが10月18日ですね。 僕は8月から行って1ヵ月間準備してました。

――準備というのは?

相澤 ノンカーイというラオスとの国境のイサーン地方の町で撮影するにあたって、(現地の)キャストに最終的にやりますよって挨拶に行ったり、ロケする場所に撮影日の確認をしたりしてました。いろいろ確認をしないとみんな忘れちゃうので…まあ正直言うとそうやって確認していても忘れられたりもしましたけど(笑)。部屋を借りるところに「この日に借りますのでお願いしますね」って言っといたんですけど、当日になったら「おばあちゃんがいないからだめだ」とか、そういうこともいっぱいありましたね。 そんな波乱含みではあったのだけど、その時点までにロケ地は全部決まっていました。キャストもほぼ決まっていたんですけど、フランス人の男性、それからアメリカ人とタイ人のハーフの男の子を探すのが結構難航して、それだけはぎりぎりまでかかりました。最終的に男の子は僕たちがロケをしたスマイルバーというバーのママが探してくれて、フランス人の役者は本当にノンカーイでの撮影が始まるまで見つからなかったんですけど、現地で協力してくれたラオスの映画会社のマチエさんって人が紹介してくれて何とか。そのフランス人の方はわざわざラオスから来てくれたんですよ。

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