FLTMSTPC=「Fais le toi-même si t'es pas content=満足できないなら自分でやっちゃえ」。批評、映画雑誌の編集、翻訳、そして製作と様々な方法で映画と関わっている松井宏さんが「カイエ・ デュ・シネマ」の記事などを起点に、映画を作る/見せる/観ることについて探っていきます。
今年もサンダンス映画祭、ベルリン国際映画祭が終わり、来週からは米テキサスでサウス・バイ・サウスウエスト(SXSW)が開かれるなど今年も各国でさまざまな映画祭が開かれる予定。そんななかで、松井さんがぜひ参加したいと思っているのがフランス東部の都市・ベルフォールで1986年から開催されているベルフォール"アントルヴュ”映画祭です。日本ではあまり知られていないこの映画祭の魅力的な企画やこれまでの功績について紹介してくれます。








ベルフォールに行ってみたい


文=松井宏


 3月である。卒業の季節である。つい先日も、ぼくが少しだけ働いている東京藝大映像研究科映画専攻の修了作品上映会が、ユーロスペースでおこなわれた。4作品。なかにはすでに、国際映画祭にチャレンジしたいということで、字幕もつけ終わってさあ応募だ、という学生もいて、ちょうど数日前廊下で、スクリーナーはDVDがいいのかリンクがいいのかとか、そんな話をその学生としたばかりだった。そんな季節の今日このごろ。この時期を映画祭チャレンジのスタートにするのはけっこう良い気がする。まあ、とはいえ、ほんとのところよくわかりませんが……。
 そういえばついこないだ、友人がプロデューサーを務めた作品がある映画祭で賞をもらって、賞金50万円ももらっていた。めでたい。と同時に、本当にうらやましかった。いちどでいいから、自分の関わった作品で映画祭から賞金をもらってみたい。賞金ですよ。以前ある映画祭で自分の関わった作品が賞をもらったことがあったのだが、賞金ではなく「監督の次回作の英語字幕支援」が副賞だったことがあって、ちょっと待て、いったいこれはなんなのだ、これでは作品ではなくて監督本人だけが賞の対象ということじゃないか! と憤ったあげく、映画祭側に「副賞を賞金にかえてもらえないか」と相談したことがあった。相談するのはタダである。が、ダメでした。いまだに納得がいかない。
 さらに言うなら、いつか他人のお金で飛行機に乗って海外に行ってみたい。しかもビジネスクラスで。ぼくはいま36歳。死ぬまでにいちどはそんな経験がしてみたい。いやまあ、ほんとにどうでもいい話で申し訳ないです……。

 いや、どうでもよくなくて、3月といえばサウス・バイ・サウスウエストなのである。いちどでいいからSXSWに参加してみたいのである。客としてでもいいけれど、自分の関わった作品でもって。で、もうひとつ、ああ、ここにも参加してみたいなあという映画祭があって、それがフランスのベルフォールという都市で毎年11〜12月に開催されているベルフォール"アントルヴュ”映画祭(Festival du film Entrevues Belfort)、というものなのだった。以下わかりやすいように「ベルフォール」と呼びます。

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