小説家・桜井鈴茂さんのエッセイ連載「サバーバン・ブルーズを蹴散らしながら」第7回をおおくりします。新宿区四谷に仕事場を構えて早数か月、はたして桜井さんは郊外生活者から都市生活者へと変貌したのでしょうか。スターバックスやコンビニエンスストアの客や店員に見る郊外と都心の違いとは――




文・写真=桜井鈴茂


 前回の寄稿から丸1か月が経ったわけだが、長かった(とおれは感じる)冬は完全に過ぎ去り、まだまだ肌寒いものの春が訪れ、咲いた桜もすでに散りかけ、久々に短篇小説の執筆依頼を受けて、それをどうにか(途中投げ出したくなりつつも)書き上げ(いや、厳密に言うと、まだ改稿中なのだが)……そうこうしている間に、おれはすっかり都市生活者となっている。

 いや、マジで。先月初めの時点では、平日の多くを都心の仕事場で過ごしながらも、心というか魂は依然として郊外にあり、自分はしょせん郊外生活者なのであり、サバーバン・ブルーズに耳たぶまで浸かりつつ、外側のボディのみ都心に出てきて仕事をしている、仮住まいしてる、という感覚が少なからずあった。それが今では……これまで同様に、週末は郊外で過ごしているにもかかわらず、おれは東京という街で生きているのだ、都市生活者なのだ、アーバン野郎なのだ、という感覚が圧倒的優位を占めるようになっている。

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