FLTMSTPC=「Fais le toi-même si t'es pas content=満足できないなら自分でやっちゃえ」。批評、映画雑誌の編集、翻訳、そして製作と様々な方法で映画と関わっている松井宏さんが「カイエ・ デュ・シネマ」の記事などを起点に、映画を作る/見せる/観ることについて探っていきます。
今回はこの季節にぴったりの企画、「カイエ」7-8月合併号の「夏を撮る」特集について。夏にまつわるいくつかのテーマ別にたくさんの映画が選び語られたメイン企画のほか、映画監督のギヨーム・ブラックや録音技師のフィリップ・グリヴェルが"夏を撮る/録る”ことについて語ったインタヴューなど、興味深い記事をたっぷり2ページで紹介してくれます。








夏を撮る


文=松井宏


 ぼくは泳ぎがからきしダメだ。平泳ぎはまだマシ。でもクロールなんてもってのほか。はっきり言ってクロールでは25メートル泳げない。まったく見れたものではない。相当に滑稽な姿であって、まあやはりプールなんかでは絶対に見せられないほど、恥ずかしい。そんな今年ついに「クロールが上手になるには」的な動画を検索してしまった。そして6日間ほど連日川で泳ぐ機会があったので、がんばってみた。たしかに、日々ほんの少しではあるが上達したと、自分では思っている。そもそも「水中に顔を入れているあいだ鼻で息を吐き続ける」「息継ぎが上手にできないひとはだいたいそれをやらないひとです」ということすらはじめて知ったのだから、ぼくの36歳の夏は非常に有意義だったと言わざるをえまい。

 とはいえ、夏はまだ終わっていない。
 「カイエ・デュ・シネマ」724号(2016年7-8月合併号)は「ヴァカンス号」と銘打ち、「夏を撮る」という特集を組んでいる。編集長ステファン・ドゥロルムによるエディトリアルの一部を引用してみる。

「沖に出て、我々を覆うこのもうひとつの、重苦しくて気味の悪い気候=空気からも身を引きはがしたいと考えた。さまざまな権利が奪われ、不自由さの空気が、まるで毒のようにこの国を浸食している。アクチュアリティとルーチンから抜け出した『カイエ・ドゥ・ヴァカンス』。心地よい風が吹き抜ける、開かれたリ・クリエイション。ひと息して、元気を取り戻すのだ」

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