映画監督の松林要樹さんが、世界最大の日系人居住地でもあるブラジルでの生活をレポートしてくれる「未来世紀、ホボブラジル」第4回です。今回描かれるのは、ブラジル北部の日系人入植地としては最も古い歴史を持つトメアスに暮らす、福島県出身の鈴木耕治さんとの交流。ある日、酒の席で人を怒らせた松林さんに鈴木さんがかけた言葉とは――





文・写真=松林要樹


 取材先での失敗はつきものだ。それを肯定していい経験に生かすにはやはり時間がかかる。先日尋ねたブラジル最大級の日系移民の入植地トメアスでのことだ。ここはブラジル北部のパラ州トメアス、アマゾン川河口のベレンから南に230キロほど離れたところにある。日系人が切り開いた「入植地」としてはブラジル北部で最大かつ最も歴史が古く、今も約300程度の家族が暮らしている。
 トメアスに、私は3年前から通い始めた。行くたびに福島県郡山市出身の鈴木耕治(76)と会うことになっている。鈴木はいまトメアスで和尚さんをやっている。私が丸刈りなので、坊主の弟子みたいについて歩いている。
 トメアスの中心地からわずか2キロにある開拓された土地に不意に現れるゴルフ場で待ち合わせた。
「ここのゴルフ場、オレらが作ったの自分の手で。まわりの日本人に声をかけてね。はじめ56人だったね。だいたい1人あたり米ドルで300を集めたの。土地は安かったよ、25丁歩で6000ドルだったから。9ホール作ったんだ。自分たちで作ったから愛着があるんだ」
 普通のゴルフクラブのオーナーと違って「自分の手」というところが違って面白く感じた。

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