すっかり街は冬模様のロンドンの「フリーズ・アートフェア」週間にて、急遽カムデン・アーツ・センターでオープン・スタジオをすることになった毛利さん。スタジオを訪れたアーティストのリチャード・ウェントウォースさんとの対話やノートに書き留められた言葉から、アーティストの思考のめぐらせ方について思うこととは。


オープン・スタジオで発表したスプーンとベルによるプラクティス


文・写真=毛利悠子

 ひと月前までは100年ぶりの猛暑だったロンドンも、このところぐっと冷え込んできた。少し前まで、ノースリーブを着ている人とダウンコートを着ている人が入り乱れる異様な街の様相が、すっかり冬服模様になってしまった。その景色はすでに年末を思わせる。あの、夏に対して免疫がないロンドンの景色は面白かったなー。あきらかに汗がダラダラと流れているけれども、季節的には冬だからとコートとマフラーを装着する感じ。しかも、ロンドンの人は冬服の着こなしがオシャレな人が多い。これからはじまる長い寒気をどのように楽しく過ごすかというのがファッションにもにじみでているような気がする。
 私は、コートの代わりにウサギの毛皮のマフラーだけは持ってきていた。それを何となく首にまいていたら、待ち行く人がどうもジロジロみている。カムデン・アーツ・センターのスタッフのソフィーに「びっくりした! 動物をだっこしているのかと思った」と言われて、ここは毛皮を着ることがあまりない場所であることを思い出した。みんな水鳥の羽が入ったダウンコートやレザーのブーツは履いているのに! どうやら、動物愛護的な考えよりも、単に怖いという理由もあげられるそうだ。なるほど……。

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