boid社長・樋口泰人による10月前半の業務日誌ときどき映画&妄想日記をお届けします。新しく始めたラジオの仕事や、ようやく行けた試写で観た2本の映画『皆さま、ごきげんよう』と『はるねこ』のこと、福岡での爆音映画祭のことなど。
文=樋口泰人
10月の後半は福岡での爆音映画祭に行くまでは余裕でいろんな準備をするつもりでいた。まあ、もちろんそんなことができるはずもない。久々に試写にもあれこれ行くつもりだったのに、行けたのが2回。なんと、7月末の『ダゲレオタイプの女』を観て以来、通常の試写は3ヶ月ぶりという惨状。サボっているわけではない。とにかく行けないのだ。試写に行ってこのことを話すと、そんなことを自慢しないでくださいとたしなめられたのだが、自慢ではなくこちらは完全なるSOS。しかしそのあたりは誰にもわかってもらえない。遊んでいるように見えるのかもしれない。それはそれでよし。ただ、休みは欲しい。身体の衰えを実感する。
10月16日(日)
ほぼ寝ていたのだが、夕方、今観なければと『ハドソン川の奇跡』に。当然新宿その他のシネコンは軒並み満席で、当然のように豊島園のユナイテッド・シネマへ。昼のIMAXでの上映に合わせて出かけたはずが、見事に間に合わないことが途中で判明し、とりあえず新宿に行ってレコードを。
ようやく出会ったルーサー・イングラムのファーストは、曲自体はセカンドの方が有名だが、十分に野太くメロウで、衰えつつ身体を慰めるように力づけてくれる。ギターのリフが足腰ばかりか脳みそをも鍛えてくれる。今後ずっと聴き続けることになるだろう。リンク・レイの79年作は、これがレイと初仕事のドラマーのアントン・フィグの勢いがレイを刺激したのか、冒頭から飛ばし続けの10曲30分ちょっと。これくらいがちょうどいい。ディランの「It's All Over Now, Baby Blue」をカヴァー。なぜか元フリクションのラピスが横浜の小さなライヴハウス(「夢音」だったか)で、同曲を演奏した時のことを思い出した。
で、『ハドソン川の奇跡』。冒頭からびっくりの「その後」と固有名を持つ小さな個人の映画だった。詳細はboidマガジンの「映画川」 に書いたのでそちらを参照。それから、12月くらいに発売になる河出書房新社のムック『ボブ・ディラン』の中でも、10月のディランのライヴの映像との関係で『ハドソン川の奇跡』のことも書いたので、そちらも参照していただけたら。全てが繋がっている。
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