世界中のアニメーションの評論や上映活動を精力的に行なっている土居伸彰さんの連載「Animation Unrelated」第27回です。今月31日から始まる新千歳空港国際アニメーション映画祭などを目前にして大忙しの土居さんですが、今回はその中で審査を担当した「学生CGコンテスト(Campus Genius Awards)」の話題。ノンジャンルの学生コンテストながらその応募作の4分の1を占めるという短編アニメーション作品は非常に完成度の高いものが多いといいます。その審査を担当する中で見えてきた短編アニメーションの未来とは――

 



「作品」から「世界観」としての短編アニメーションへ


文=土居伸彰


 新千歳空港国際アニメーション映画祭が今月末に迫り、パニック状態ここに極まり……という状態になってきている。映画祭と並行して、自分の会社ニューディアー関連の発表(10/21に大きな発表をします、これまでこの連載を読んでくれていた人であれば、きっと驚くんじゃないかというメンツのイベントです……)の準備などもあって、てんやわんや。なのでまったく作品を観る余裕がない。映画館にも行けないし、ネット動画を漁る余裕さえもない。
 こういうとき、作品を観ることが「仕事」の一部となっている場合、よかったなあ、と思う。毎日コンスタントに作品鑑賞をしていくのではなく、なにかの機会にまとめてざっくり観る、狩猟民族のような生活になる。映画祭に行けば一週間毎日アニメーション漬けになる。去年からは新千歳の選考も加わったので、1ヶ月が1000本以上の短編作品を観ることで潰れる。毎年9月から10月も収穫期だ。この時期はとりわけ「新鮮なネタ」が豊富になる。JAPICが運営する海外若手アニメーション作家のレジデンス制度A-AIRの予備審査と、学生作品ならなんでもアリの学生CGコンテストの評価委員の仕事があるからだ。この両方はスケジュールが重なってしまうこともあるので大変だけど、刺激的で楽しい。若手と学生、まだ未来に希望を見出すことのできる若い才能を探すことのできる場なので、未来の創造の一端を担っている気分になる。僕がアニメーションに関して評論や上映イベントを始めて以来、なんだか基本的に、僕の役割は未知のものの紹介や、若い人たちへのアジテーションや後押しをする機会が多い。新千歳空港国際アニメーション映画祭もどちらかといえば若手をプッシュする傾向にあるし、僕のここ数年の人生は若い人たちの作品とともにあるという感じもする。そうなると必然的に、この業界の「これから先」が見えてくる。

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