
文・記録=ヒスロム
11月1日(曇り)
昔から形がほとんど変わらない遊具って何故なんだろうか。小学生の頃によく乗ったのはラッコだったかな。ラッコが在るから、ラッコ遊園。何処集合にする?じゃあラッコで!という感じで、遊具で待ち合わせ場所が決まる。これは何の生き物だろう。虫か、動物か。近未来アニメに出てくるキャラクターか。ドラゴンボールのキン斗雲のような?!いずれにせよ、宙に浮いているのはわかるし、そこに乗って揺れるのもわかる。ただ、何て呼んだらいいかわからない。遊具くんの名前を知りたい。遊具くんたちはまるでポートレートのように、立ち並んだ新しい家々を借景して佇んでいる。昼を過ぎても空は雲に覆われて、一向に太陽は出てこない。
遊具くんの足下にビニールテープを絡めて、うつ伏せになりながら引っぱる。テープがぴんぴんに伸びきって、切れる寸前のところで遊具くんが応答し、ゆっくりと前に動く。引っ張る力を緩めると、反動で後ろに動く。ゆっくり、ゆっくり手首の力だけで遊具くんを操る。うつ伏せ状態から眺める景色は、遊具くんが曇り空を漂っているようにも見えてくる。
握っていたビニールテープを放すと、するするするすると、遊具くんに引き寄せられていく。くちゃくちゃのテープがだんごになって、地面の芝生を一本一本、とてもゆっくりと乗り越えてゆく。もう止まったかと思って見ると、まだ微かに動いている。これは遊具くんのパワーなのか、それとも芝生のパワーなのか。不思議とずっと見入ってしまう。
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