boidマガジン

2015年12月号 vol.2

ヒスロム日記 第8回

2015年12月12日 21:45 by boid
2015年12月12日 21:45 by boid
ヒスロムの毎月の活動をテキストと映像で綴る「ヒスロム日記」第8回目です。夏にもあった桐の木を叩いて折ってしまってなんとか添え木をしてみたり、出会った人から伝え聞いた隠れキリシタンのマリア像を探してみたり、街の経過とともに紹介しています。「今月の鳩」では任さんの鳩を台湾に輸出するために動物検疫所に21日間も預けることになってしまった鳩たちについて。



文・記録=ヒスロム


11月1日(曇り)

昔から形がほとんど変わらない遊具って何故なんだろうか。小学生の頃によく乗ったのはラッコだったかな。ラッコが在るから、ラッコ遊園。何処集合にする?じゃあラッコで!という感じで、遊具で待ち合わせ場所が決まる。これは何の生き物だろう。虫か、動物か。近未来アニメに出てくるキャラクターか。ドラゴンボールのキン斗雲のような?!いずれにせよ、宙に浮いているのはわかるし、そこに乗って揺れるのもわかる。ただ、何て呼んだらいいかわからない。遊具くんの名前を知りたい。遊具くんたちはまるでポートレートのように、立ち並んだ新しい家々を借景して佇んでいる。昼を過ぎても空は雲に覆われて、一向に太陽は出てこない。

遊具くんの足下にビニールテープを絡めて、うつ伏せになりながら引っぱる。テープがぴんぴんに伸びきって、切れる寸前のところで遊具くんが応答し、ゆっくりと前に動く。引っ張る力を緩めると、反動で後ろに動く。ゆっくり、ゆっくり手首の力だけで遊具くんを操る。うつ伏せ状態から眺める景色は、遊具くんが曇り空を漂っているようにも見えてくる。

握っていたビニールテープを放すと、するするするすると、遊具くんに引き寄せられていく。くちゃくちゃのテープがだんごになって、地面の芝生を一本一本、とてもゆっくりと乗り越えてゆく。もう止まったかと思って見ると、まだ微かに動いている。これは遊具くんのパワーなのか、それとも芝生のパワーなのか。不思議とずっと見入ってしまう。
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