梅田哲也さんの連載「ほとんど事故」の22回目です。梅田さんが先月オーストリアのフラッハウで開催されたMINUS 20 DEGREE ART&ARCHITECTURE WINTER BIENNALEに参加されたことを書いてくれています。極寒の雪山で行われるこのフェスティバルは、予想がつかない自然を相手に数名で企画運営されているそうで、村人たちのサポートを受けながら奮闘する主催者のハインズさんの姿が見えてきます。そんな彼らと梅田さんが凍った湖でやってみたかったこととは。



文・写真=梅田哲也

ザルツブルグ空港についたときの寒さは先月行ったブダペストなんかとほとんどかわらないくらいではあったが、出迎えてくれたフェスの首謀者ハインズの、ぶくぶくのダウンに身を包んだ白ヒゲで巨漢という風貌が、もともとあたためていたイメージになにより近くてしっくりきた。日本を出る前に連絡できなくてすまなかった、と言われるまで気付かなかったけどそうか、そういえばここのところハインズからは何の連絡もなかったんだ。フェスティバル直前とあって、寝る間もないほど忙しい日々を過ごしているらしい。それでもハインズはにこにこ笑って車を運転しながら、モーツァルトが生まれたアパートであるとか、世界遺産に指定されているというザルツブルグの古い町並みを案内してまわる。俺ももう何年もこうして車で通り過ぎてるだけだよ。フェスティバルが終わってから君が帰るまで一日余裕があるから、俺がまた君を空港まで送って、そのついでにここらをみて回ろう。僕は、ぜひそうしたいと返事したけれど、きっと帰る頃にはまた状況が変わっていてそんな余裕なくなってるのだろうな、と一方では予測してもいる

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