
文・写真=梅田哲也
ザルツブルグ空港についたときの寒さは先月行ったブダペストなんかとほとんどかわらないくらいではあったが、出迎えてくれたフェスの首謀者ハインズの、ぶくぶくのダウンに身を包んだ白ヒゲで巨漢という風貌が、もともとあたためていたイメージになにより近くてしっくりきた。日本を出る前に連絡できなくてすまなかった、と言われるまで気付かなかったけどそうか、そういえばここのところハインズからは何の連絡もなかったんだ。フェスティバル直前とあって、寝る間もないほど忙しい日々を過ごしているらしい。それでもハインズはにこにこ笑って車を運転しながら、モーツァルトが生まれたアパートであるとか、世界遺産に指定されているというザルツブルグの古い町並みを案内してまわる。俺ももう何年もこうして車で通り過ぎてるだけだよ。フェスティバルが終わってから君が帰るまで一日余裕があるから、俺がまた君を空港まで送って、そのついでにここらをみて回ろう。僕は、ぜひそうしたいと返事したけれど、きっと帰る頃にはまた状況が変わっていてそんな余裕なくなってるのだろうな、と一方では予測してもいる
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