
ジャングル・ブラザーズ『J・BEEZ ウィット・ザ・レメディー』
ラップ/ハウス レヴュー
文=湯浅学
※アルバムタイトルがアーティスト名と同名の作品、もしくは、コンピレーション作品はアーティスト名を省略。各レヴューの末尾の数字は10点満点中の点数。(V)=ヴィデオ作品
ジャングル・ブラザーズ『J・BEEZ ウィット・ザ・レメディー』
3年ぶりの新作は、やや覇気が足りないような気も。しかし内容はやはりただ者ではない濃さである。ビートの緩急が自由自在。ちょっと聴くとえらく普通に聞こえてしまうくらいだが、聴くほどにその気くばりぐあいがわかる。新技もある。(8)
クリス・クロス『DA BOMB』
大人になったってことは大人しくなったってことか? と思うところもあるセカンド。ジャーメイン・デュプリがまた面倒見ている。聴かせよう、という気持ちがより強く作用しての、ちょっとした渋さだろう。ジャンプ度は減ったが、これはこれでちゃんと骨がある。やっぱりただのガキじゃねえぞ。(7)
スムーズ『ユー・ビーン・プレイド』
『メナス・Ⅱ・ソサエティ』のサントラにも収録されていた期待のロサンゼルス出身女性ラッパー/シンガーのデビュー作。ラップと歌の両方ともパワフルかつ、その名の通りスムーズにやりコマすんですよ。腰の据わりのよさ、余裕の節まわし。スムーズ嬢の兄=クリス・ストークスによる音作りもちょっとヘンテコでよい。(8)
ルーク『イン・ザ・ヌード』
アルバム・タイトルが馬鹿らしく素晴らしいいつもながらの助平もの。いきなりクラフトワークで、おやおやと思うのもつかのま、スカスカのマイアミ・サウンド。エロ会話をハサみ込んで盛り上げ、責めたり撫でたり揉んだり舐めたりの、緩急強弱使いわけての大サービスこそ、男の甲斐性だってさ。(8)
95サウス『クアド・シティ・ノック』
米国を南北に走る高速道路名をグループ名にしたマイアミの5人組。だからか、やっぱり下ネタ系で、よりヒップ・ハウス的なせっかちなビート中心。抜けのいいスッカンスッカンのサウンドには、なんとなく聴き流せてしまう無理のなさがある。(6)
MCブリード『ザ・ニュー・ブリード』
デトロイトのラッパー、その3作目。プロデュースはコリン・ウルフ、D.O.C.、ウォーレンG、といった米西海岸ハードコア連。ねっとり、じっくりと攻める音作り曲作りがファンキーなのは当然だが、太くてゆるいラッピンもなかなかの妙味。全体に二番煎じっぽいが。人気もの2パックもゲスト参加。(7)
読者コメント