
文=樋口泰人
『地獄の黙示録』をロードショー公開する。本来なら昨年公開の予定だった。ベトナム戦争終結後40年、第2次世界大戦終結70年という節目の年。振り返ればさらに国内での憲法第9条をめぐる動きなど、戦争にまつわるさまざまな出来事が起こった。昨年公開できていればと思うばかりだが、貧乏暇なしのboidは残念ながらできなかった。ようやく今年の公開にこぎつけたわけだが、気持ちは昨年公開。チラシなどに、以下のような文章を書いた。
「当然、それは通常の「戦争映画」になるはずもない。ベトナムのジャングルが人間の心の闇とも重なり、戦争の恐怖は生きることの恐怖となり、戦いの果ての向こう側に向けての闇の中への潜行となる。果たしてそこに着地点はあるのか? ベトナム戦争終戦後、その先が見えない西欧社会の行き詰まりの中で、「その後」を模索するアメリカの露わな姿をそこに見て取ることもできる。「アメリカ」の黎明期の物語とも言える『ゴッドファーザー』の後、コッポラは「アメリカ」の終わりであり、新たな始まりの物語を作り上げたのだ」
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