
文・写真=桜井鈴茂
前回の寄稿から丸1か月が経ったわけだが、長かった(とおれは感じる)冬は完全に過ぎ去り、まだまだ肌寒いものの春が訪れ、咲いた桜もすでに散りかけ、久々に短篇小説の執筆依頼を受けて、それをどうにか(途中投げ出したくなりつつも)書き上げ(いや、厳密に言うと、まだ改稿中なのだが)……そうこうしている間に、おれはすっかり都市生活者となっている。
いや、マジで。先月初めの時点では、平日の多くを都心の仕事場で過ごしながらも、心というか魂は依然として郊外にあり、自分はしょせん郊外生活者なのであり、サバーバン・ブルーズに耳たぶまで浸かりつつ、外側のボディのみ都心に出てきて仕事をしている、仮住まいしてる、という感覚が少なからずあった。それが今では……これまで同様に、週末は郊外で過ごしているにもかかわらず、おれは東京という街で生きているのだ、都市生活者なのだ、アーバン野郎なのだ、という感覚が圧倒的優位を占めるようになっている。
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