久しぶりのヒスロムの先月の活動を写真、テキスト、動画で記録するヒスロム日記も第13回目です。通い始めて7年目となるいつもの活動場所にて水穴に潜ったり、展覧会のために山中で一晩かけて切り株にコンクリートを流し込んで型作りをしたり、庄内川の上流から名古屋港まで渡るための丸太を切り出したり。その記録をテキストと動画で紹介してくれています。





文・記録=ヒスロム


8月7日(晴れ)

穴の中へ潜ってみるとそこは視界がほとんど無くなって、ただ穴から差し込んでくる太陽の光が少しだけ水中を明るくしてくれる。穴は2つあるし、いつものあれだ、お馴染みだ。きっと穴から穴へ通り抜けれると分かっていながら、これほど視界が悪いと怖くなってくる。これって本当にいつもと同じ形かな。壁面をなぞって行くとすごく長くて多分湾曲してる。そしたら行き止まりになって、横の壁を触ったら三角になってたよ。ぷーさんはものすごく驚いて話してくれる。じゃあ僕が確認してきます、と泰幹くん。15秒数えて浮き上がって来なかったら助けに行くわ。いや、やっぱり四角ですね。昔、某大学の洞窟探検サークルのメンバー数人が洞窟へ行って、そこで見つけた地底湖で泳いでたんだって。そしたら1人が浮き上がって来なくなったらしい。地底湖ってね、すごく濁っていて視界が全く無いらしくて。水深はすごく深いと吸引力が生まれるんだって。じゃあその人は吸い込まれてしまったの?うん、そうだと思う。未だに浮いてこないんだって。吸い込まれたらどこに行ってしまうのかな。

山の上から公園を見下ろすと人がほとんどいない。いつもはたくさんの子どもが走り回っているのに。夏の暑さのせいかな。足どりが重い。汗が止まらない。頭がボーっとする。飲み水があっという間に減っていく。もう1つの穴の方へ向かって潜って行くとあっという間に目の前は真っ暗になってしまう。目を開けていても全く何も見えない。閉じてもいっしょ。とにかく気持ちを落ち着かせて水を掻く。自分の身体の輪郭が薄らいでいく。手は、足はどこ。目が無くなる。お腹は。もはや水中なのかも分からなくなる。自分がどれほど深いところに居るのか。ほんの数秒がとても長く感じる。うっすらと目の前が明るくなってくる。少し黄緑がかった光が迎え入れてくれる。手が付いた。足が付いた。目が覚めた。1番明るくなったところで浮上する。そして大きく呼吸する。(←「ヒスロム日記第5回」参照)

時たまビューンッてすごく奇妙な音が鳴る。日が傾き、暑さも少しだけ和らいできた。谷を挟んだ山に向かって、ゴルフクラブで石を打つと音が倍増して辺りに響きわたる。何でこんな音が鳴るんだろう。4人で交代しながら、ひたすら山に向かって石を飛ばす。泰幹くんは小中高と野球をやっていただけあって打つのが上手い。高校生のとき豪速球を投げるピッチャーからタイムリーヒットを打ったんだって。打っても打っても石は減らない。何処からか運ばれてきた石は山のあちこちに消えていく。日が暮れてから2年ぶりくらいに昆虫さんに会った。彼は結婚して、この近くに住んでいるらしい。今もよくこの辺りを散歩しているらしい。日々風景が変わっていくこの山のことを彼と振り返りながら話せることが嬉しく思う。


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