boidマガジン

2016年09月号 vol.1

Television Freak 第7回 (風元正)

2016年09月09日 21:34 by boid
編集者の風元正さんによる「Television Freak」。ドラマをはじめとするテレビ番組を取り上げている本連載ですが、今回は普段とは趣向を変え、風元さんがこの夏に訪れた茨城県・大洗町の旅行記をお届けします。もともと海水浴場や水族館(アクアワールド・大洗)などを有す観光地であった大洗ですが、ここ数年ある理由から同地を訪れる観光客の数が増大しているといいます。それは大洗が人気アニメ『ガールズ&パンツァー』の舞台になっているからで――

大洗駅舎



大洗『ガールズ&パンツァー』小紀行


文=風元正


 大洗行きを決めたのは、まだ行ったことのない唯一の近場の海岸地帯、というだけの理由だった。もっとも、「那珂湊おさかな市場」と「ネモフィラの丘」がある「ひたち海浜公園」はずっと気になっていたが、旅行ガイドを眺めていたら「ガルパン」の聖地であると知った。『ガールズ&パンツァー(戦車)』、2012年放映開始の深夜のテレビアニメから発し、マンガ、小説、映画、パチスロなど、異例の大展開を続けている作品群である。昨年11月に「劇場版」が公開され、Blu-ray・DVDが発売されたにもかかわらず、1年以上映画館で上映されることが決定しており、「最終章」の製作もアナウンスされて、大ヒットを続けている。アニメには無案内で、辛うじてタイトルだけ知っていたが、旅立つ前日に慌てて見た。世界観に慣れるのに時間はかかったものの、尋常でない何物かであることだけは呑み込めた。 『ガールズ&パンツァー』は、「戦車道」という、戦車を使った模擬戦が女子の武道として確立し、華道や茶道と同じ嗜みとして受け入れられている虚構世界のお話である。主人公たちが在籍するのは「大洗女子学園」。おおむね「戦車道」を修める女子高生たちの日常生活と、街中で展開される第2次大戦などで実戦に使われた戦車による「試合」シーンが繰り返されている。一見シンプルだが、とても重層的に構築されている作品であり、ディティールをつつき始めればもうキリがなくて、通りすがりの旅人である私には手に余る。何より熱い支持者の方々に無知を叱られそうだ。もっぱら、旅先で印象に残った出来事を中心に記すことにする。
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