boidマガジン

2016年09月号 vol.2

毛利悠子のプラスチックフォレスト ロンドン編 第2回

2016年09月17日 02:36 by boid
アーティストの毛利悠子さんの連載「毛利悠子のプラスチックフォレスト ロンドン編」の2回目です。一時帰国をして、アジア特有の湿気と低気圧の中、日本や台湾で呑み食いしてリフレッシュした後ロンドンに戻って制作を開始された模様。普段とは違うスタジオでの制作。重要な素材探しにフリーマーケットや電気屋さんに足を運び、素材に触れることで作品となってゆく過程も伺えます。来月の展示まで残された時間はあと少しのようです!



台湾の車上フルーツ屋さん



文・写真=毛利悠子


東京と台北の猛暑&台風による低気圧から逃げるようにロンドン戻ってきた。
2週間の東京滞在はとても充実していた。ヨーロッパから成田空港に降り立った時にアジアの特有のムワリとした空気が鼻に入りこんできて、懐かしさを感じる。空港からメールで、溜まった仕事をしたり、友達に連絡した。ちょうどホームシックだったこともあり、連日、友達や家族とお酒を呑んだ。そして呑み過ぎによる自己嫌悪というパターンに入っていた(苦笑)。日本食も台湾食も美味しかったな~。たぶん3キロくらいは肥えた。
台湾では、作品の納品作業の他は予定はなかったので、ゆっくりと街歩きをした。途中で、TKG+というコマーシャルギャラリーで、高嶺格さんの新作展とウ・ティエンチャンさんの前回のヴェニス・ビエンナーレで展示した作品展の再現があったので、寄ることに。この2つの展覧会がよかった!
高嶺さんの新作は、《鹿児島エスペラント》を思わせる小さなスポットライトを使って床を映していく形態のものなのだが、今回のはさらにシンプルかつ強いインスタレーションになっていた。カポエラ(?)をしている兄弟になぞるように、2つの紐に吊られた照明がくるくるとモーターによってシンクロしながらまわっている。どうやら紐はのびたり、縮んだりと制御されているようだ。たまに照明が床につく。その単純かつ複雑な構造にしばしうっとりと見つめていた。驚いたことに、その照明の正体をつきとめるべく近づいてみて見ると、それはただの空き缶だった。これにはやられた。ウ・ティエンチャンさんの個展の再現は、初めて観たのにかかわらず、身体の奥底にある故郷の懐かしさや、まったく知らない人の郷愁を追体験できるような、不思議な作品で素晴らしかった。この2つの展覧会をみて、自分もこれからも、丁寧に制作しようと心がけた。
友達、食べもの、仕事、インスピレーション、すべて充実した2週間だったが、低気圧と湿気がキツかった。どこかの記事でこの2つは身体に悪影響を及ぼすと書いてあるのを読んだことがあるが、これには実感がある。ヨーロッパとちがってあきらかにダルいのだ。台湾には、街のあちこちに麻油鶏を食べられるところがある。これはストリートフードの一種で、お酒や漢方スープにつけた鶏を、お好みによっては麺と一緒に食べるのだ。真夏の暑い日でもお店はいっぱいで、みんな汗をかきながら食べている。このスープを少しいただくだけで、夏バテが抜けていくのがわかる。だがまたすぐに身体がだるくなってくるので、低気圧というのは、途方もなく大きなエネルギーだな、思うのであった。
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