FLTMSTPC=「Fais le toi-même si t'es pas content=満足できないなら自分でやっちゃえ」。製作、批評、翻訳と様々な方法で映画と関わっている松井宏さんが「カイエ・ デュ・シネマ」の記事などを起点に、映画を作る/見せる/観ることについて探っていく本連載では、これまで複数回にわたって映画教育を特集した記事を取り上げてきました(第7回第9回第15回第16回参照)。この夏、大学生と大学院生が映画をつくる合宿に参加した松井さんが、その体験を通して映画の教育において必要なことは何かを考えます。







あなたの演出で、この世界は変わるかもしれない


文=松井宏


 以前、いつだったか、この連載でフランスの大学や高校での映画の教育について、「カイエ・デュ・シネマ」の特集をめくりながら、いろいろと紹介したことがあった。ん……、いやはや思えばよくこんなふうに連載をつづけているものだ。甲斐性がないことを大いに自覚している自分ゆえ、これはまったくもって驚きである。
 と、そんなことはどうでもよくて、そう、映画の教育、というものだ。
 実は今月、青山学院大学で教えている三浦哲哉さんのお誘いを受け、三宅唱監督と一緒にゼミ合宿というものに参加してきた。ゼミ生たちで映画をつくろう、という合宿である。合計30人強の学生たち(学部生+院生)が4グループに別れ、カメラと三脚とマイクとブームと、そして三宅の書いた短編シナリオを与えられ、実質2日間ほどで宿舎敷地内のロケハン、撮影、編集までをおこなうというもの。撮影前には三宅による、演出とはなんだろう、的な講義もあった。
 もちろん三浦哲哉さんのゼミは、映画制作ではなく理論のゼミだ。だからひとりぐらいを除いては、映画の撮影など経験がないひとたちだ。いや、もとい、実は昨年度の冬にも同じように三浦さんに誘われて映画撮影実習を三宅と一緒にやっているので(そのときは1日のみで、青山学院大学の敷地内でおこなった)、そこで映画づくりを経験した学生たちが今回も10人ほどはいたはずだ。とはいえ基本的には、すでに映画制作の道を志しているようなひとたちでは、とくにないのである、ほぼ全員。

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