
ぬQによる新千歳空港国際アニメーション映画祭2016メインビジュアル
日常の足場を確認する
文=土居伸彰
今年も新千歳空港国際アニメーション映画祭の時期がやってきた。3年前から始まった、新千歳空港のターミナルビル内だけですべてが完結する世界で唯一の「空港映画祭」。僕は今年もフェスティバル・ディレクターとして仕事させてもらっている。今年は11月3日から6日の開催。今回はそのプログラムの紹介をしたい。
新千歳は、GEORAMAとはまた別のベクトルで、僕自身のアニメーション観と最近の発見が凝縮された催しだ。
新千歳は「今」にフォーカスを当てようと考えていて、旬の作品を集めるのがまずは僕の役割となる。先発の他のフェスに対して、質と多様性と未来への見通しで圧倒することを目指している。メインプログラムの短編アニメーションを対象にしたコンペティションが、その意図を最も凝縮して伝えてくれるだろう。僕はコンペティションの選考委員も担当しているのだが、今年は3年間で最も強力なセレクションになったと思う。
この連載でも以前取り上げた山村浩二の『サティの「パラード」』やイゴール・コヴァリョフの『ビフォア・ラブ』といった巨匠たちの新作はもちろんのこと、かなり「変わった」作品もたくさん入った。とりわけ、インターナショナル・コンペティション2に強烈なものが揃っている……たとえば下のやつとか。
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