今回の映画川は現在公開中の『皆さま、ごきげんよう』(オタール・イオセリアーニ監督)を取り上げます。イオセリアーニ監督の5年ぶりの新作は、現代のパリに暮らす悪友同士の二人の老人を主人公に、彼らを取り巻く老若男女や野良犬、さらには異なる時代と場所に生きる人々との繋がりを描いた作品。『素敵な歌と船はゆく』で初めてイオセリアーニ作品に出会って以降、同監督を愛して止まないという渥美喜子さんが、この作品とイオセリアーニ監督への熱い想いを綴ってくれました。
文=渥美喜子
私事で恐縮だが、99年(ハタチの頃!)に『素敵な歌と船はゆく』でイオセリアーニ監督と出会ってしまった瞬間、あっというまに恋に落ち、それ以降未だ独身の理由を聞かれるたび「イオセリアーニ以外の男なんて有り得ないんで」と応えるかなり痛い女になってしまった。2011年に『汽車はふたたび故郷へ』の上映にともないフランス映画祭の舞台挨拶に登壇した際にはもちろん駆けつけ、ほろ酔いで祖国の歌を唄う監督の姿に、惚れ惚れするどころか、ああこんなにも素敵な男性には二度と出会えないんだろうなとひとり落ち込んだものだった。
そして今回の最新作、『皆さま、ごきげんよう』を見て、やはりこの熱い想いは間違いではなかったのだと確信した。82歳の監督が作る映画は、相変わらず、超カッコ良かった。やっぱり私は、イオセリアーニと結婚したい。なので、これから続く文章は、イオセリアーニ監督へのラブレターだと思って読んでほしい。
2018年12月号
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