動く紙芝居「火とぼし山」(平岡政展監督)
『君の名は。』を再見してボンヤリと考えたこと
文=土居伸彰
1/31(火)にゲンロンカフェに出演する。先月出した『個人的なハーモニー ノルシュテインと現代アニメーション論』(フィルムアート社)の出版記念イベントで、批評家の佐々木敦さんとお話しさせていただく。ゲンロンカフェはCALFの一員として出演して以来二度目なのだけれども、ものすごく話しやすい場所です。場の雰囲気自体が。一回目に出たときは残念ながら動員自体はあまりよくなかったけれども、楽しく喋れたという記憶だけはとても強く残っている(アフターも含めて!)ので今から楽しみ。みなさんも来てください。平日ですけど終電まで飲みましょう。
その準備のために、『この世界の片隅に』と『君の名は。』を復習しておこうと思い、まずは前者を観るために吉祥寺オデヲン座へ行くも、平日昼間だというのに満席……ものすごい旋風が起こっていることは知っていたし願ってもいたけど(なにせ新千歳のオープニングで先行上映させてもらったくらいだし)、まさかここまでとは……片渕監督は以前よりコツコツと特徴的な作品をリリースしつづけていたけれども、継続してきちんとやっていくといいことがあるのだなと改めて思った次第。いろいろと頑張って続けていかないと……
で、『君の名は。』はTOHOシネマズ新宿のIMAXシアターで観た。爆音上映の環境に慣れた身にとっては、この『君の名は。』のIMAXはなんとも中途半端で、500円の追加料金を無駄に払ってしまったなと正直思ったのだけれども、作品自体はやはり考えさせられるものがあった。ご存知のとおり、日本映画興行史に残るようなとんでもない大ヒットになっているわけなのだけれども、それがどういう意味を持つのかということをとりわけ考えた。新海誠もやはり継続してコツコツやってきて、ここにたどり着いたわけだ。オルタナティブな立ち位置から出てきた作家であることもあり、今回の大ヒットは素直に嬉しい。一方で、新海誠が、一部の人に熱狂的に受け入れられるのではなく、ここまで大きな人の層にヒットしてしまうということにかなり戸惑いを感じてしまう。この作品の想像力が国民的に共有されてしまうのはどうなのかなということである。
読者コメント