boid社長・樋口泰人による2017年1月1日~10日の業務日誌ときどき映画&妄想日記。元旦からメニエールの症状が出てしまいぐったりとした年明けの模様です。仕事始めは早速税務署にて書類不備、そして翌日の記憶はなし。今年の目標はまずは半年間を生き延びるということですが、今年はどんな音楽や映画とともに過ごしていくのでしょうか。

文・写真=樋口泰人
あまりに厳しい日が続くので、当然、年初の新年感などどこにもなかった。無理やりにでもそういったものを持った方が悪循環を断ち切れるのかもしれないが、まあ、できないものはできない。とりあえず何とか半年間生き延びる。それがまず今年の目標である。身体は耐えてくれるだろうかと、さすがに不安にもなる年齢である。忙しぶっていて、実はたいしたことができていないはずだ。そんなことも思う。これからは年齢を武器に、「もう無理」を連発して生きていこうと思う。
1月1日(日)
2日間も田舎の家にいるとすぐに身体が硬くなる。畳とこたつの暮らしはまったく身体が受け付けない。あまりにつらいので散歩をしてみた。近所の家への渡し物も頼まれたので坂の上の家に行くと、猫たちが迎えてくれた。我が家の黒猫様もこんな感じで近所にうろうろしていた野良様だったのだが、まだあまりに小さかったので冬の寒さに堪えられないだろうということで、保護して連れ帰り、今やもう、絶対に野良には戻れない堂々とした家猫様になっておられる。坂上の家に住み着いた(庭猫なのだそうだ)猫たちの行く末を思う。

そしてさらに坂を上り、坂を下りかけた場所。子供の頃は当たり前のように行き来した場所なのだが、いや、まさかの当時のまま朽ち果て三昧。そこだけ完全に時が止まっていた。そのまま黒沢さんの映画だった。いや何も元旦からこんなものを見なくてもとは思ったものの、あまりのことにちょっと近づいてみた。もちろん何かが起こるわけではない。

家に戻りテレビをつけたら「湯浅湾」が映っていた。バンドではなく本物の湯浅湾。旅番組みたいなやつである。醤油の発祥地なのだそうだ。年内にはと言っている湯浅湾のニューアルバムのプレゼントは、湯浅湾醤油がいいのかも。醤油ジャケとか。はっぴいえんどよろしく醤油屋の暖簾ジャケットとか。
夕方、東京に戻るために身延線に乗った時からおかしかったのだが、途中でメニエールの発作。あとは良くなるばかりだと思って気を抜いていたのだが、ひどいめまい。このまま甲府に向かったほうがいいのか途中下車するか迷ったが、今更戻ってもつらいことになるだけだ、どうせつらいなら東京に行った方がまだましと、中央線内でもトイレの位置を確認し、座席にぶっ倒れる。止まった時間の館の呪いだろうか。
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