FLTMSTPC=「Fais le toi-même si t'es pas content=満足できないなら自分でやっちゃえ」。製作、批評、翻訳と様々な方法で映画と関わっている松井宏さんが「カイエ・ デュ・シネマ」の記事などを起点に、映画を作る/見せる/観ることについて探る連載です。3月で2016年度も終了、新学期が始まりました。というわけで、今回は「いまさら2016年、されど2016年」と題して、「カイエ・デュ・シネマ」728号(2016年12月号)で組まれた2016年のベスト企画をピックアップ。その企画では2016年に新作を発表した映画監督たちが同年で一番好きだった映画と最も印象深かった事柄を書いているそうで――
いまさら2016年、されど2016年
文=松井宏
年度末である。まったく関係ないが、年度末ならぬ年末には、ベスト10とかベスト5というものが恒例として存在している。映画という分野でもそれは当然ある。ぼくは昔からこの「ベスト」というものがなかなかに苦手で、自分で選ぶ機会もかつては何度かあったのだが、そのたびにものすごく苦痛だったし、苦痛ゆえにほとんど思いつきでやっていた記憶がある。いまも「ベスト」にはあまり興味がない。いや、とはいえ、読者や観客としては興味がない、というのはたしかなのだけれど、自分がなにかしら関わった作品については、あまり興味がないという言い方もちょっと自分に嘘をついている気がしないでもなく……。うーん、いや、でもやっぱりあまり興味がないような気がする。
「カイエ・デュ・シネマ」728号(2016年12月号)でも、やはり「トップテン2016」の特集が組まれている。例年の恒例行事である。ただこの号、少し工夫がこらしてあって、「映画監督たちが見た2016」と題し、編集部のトップテンで出た作品の監督たちに質問をして、それに答えてもらう、ということをしているのだ。昨年や一昨年も同じことをやっていたのかしら? わからない。が、ああ、こういう工夫があると、ベストテンやらトップテンも少しはおもしろく見えるなあと、偉そうにも思ってしまったのだった。
質問はふたつ。1.「2016年もっとも印象深かったことは?」。2.「2016年もっとも好きだった作品は?」。
2018年12月号
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