
映像・文=三宅唱
3月、レナ・ダナム『ありがちな女じゃない』やロクサーヌ・ゲイ『バッド・フェミニスト』を読んで、なんとなく異性の友人たちの顔が浮かぶ日々だった。
4月、引っ越しのために荷物の整理をしていたら、押入れの箱の中から友人のUが撮った写真の山が出てきた。
Uは高校の同級生で、入学式の時に金髪のボウズ頭でルーズソックスという、いま考えればめちゃめちゃカッコいい女子高生なのだが、当時ははじめ「なに調子のってんだよ」と思っていた。成績さえ良ければどんな格好をしても許される空気の学校で、そして勉強のやる気がない生徒は放置される学校で、Uのようなファッションの生徒は400人のうち成績上位50人もしくは下位50人のどちらかだったが、Uは後者だった。
高2の時、Uが撮った修学旅行の時のスナップ写真がなんだかとても良くて、「これはいい写真だ」とかなんとか、自分が言ったような気がする……修学旅行の写真を<論評>している自分を本気で軽蔑したい……一方、自分の写真は面白くもなんともなかったのをはっきり覚えている。凝りすぎというか、狙いすぎというか。みんなが撮らなさそうなものを撮ろうとして、見事に失敗していた。たかが修学旅行でなにを気取っていたのだろう。イタイなあ。当時その時点で自分の写真の面白くなさは自覚していて、だからきっと、Uの写真の気取りのなさというか素直さというか距離感みたいなものに憧れたんだと思う。
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