梅田哲也さんの連載「ほとんど事故」第32回目です。不定期で、ヒスロムと共に大阪の川をボートで回遊するクルーズ(非公開)を行っているという梅田さん。今回はそのリポートです。長年住み慣れた町の川から大阪湾を経由して、昨年度の公演「7つの船」の現場へと辿る様子を書いてくれています。
文・写真・動画=梅田哲也
部屋をでてから半径1km以内、よくひとり考えごとをしながら淵を歩くこの川は、ときどき人に出くわすようなことがあっても、挨拶をかわしたりはしない。それは僕の歩く時間帯がおもに夜中であること、人に会わないことを前提にして歩いているからで、正面から男が犬の散歩をしながら歩いてきても、彼もきっとおなじような気持ちでここを歩いているだろうという推測でもって、自然とお互いの存在をなかったことにしてしまっている。朝方、夜明けの頃に歩いてみると、散歩だったり、ランニングだったり、早起きの人たちがぽつぽつと登場するのだが、これまたなかなか全員自分の時間に浸っているようで、こちらと目が合う人なんてそもそも存在しないのだ。昼間に歩くことはないので、あまり状況をしらない。でも、もうここいらにかれこれ15年ほど暮らしていて、船をみたことは一度もなかった
2018年12月号
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