世界中のアニメーションの評論や上映活動を精力的に行なっている土居伸彰さんの連載「Animation Unrelated」第45回は、9月25日発売されたばかりの著書『21世紀のアニメーションがわかる本』(フィルムアート社)について。前著『個人的なハーモニー ノルシュテインと現代アニメーション論』(同)からわずか9ヶ月で発表されたこの本のテーマや執筆の動機について、わかりやすく解説してくれています。興味を持たれた方は是非、同書を手に取ってみてください。

“私たち”の時代のために
文=土居伸彰
新刊の『21世紀のアニメーションがわかる本』(フィルムアート社)が発売になった。昨年末に出版された最初の著作『個人的なハーモニー ノルシュテインと現代アニメーション論』(フィルムアート社)に続く二冊目の単著で、全編書き下ろしである。前著が10年近くかけて準備したものだということを考えれば、驚くべき速さで書けてしまったことになる。
本の内容はタイトルのとおり、21世紀に入ってからのアニメーションの状況を語るものだが、コアの部分は『個人的なハーモニー』に書いたことの応用編(そしてさらに先の一歩)だ。前著は10年かけて準備したわけだが、そのあいだに当然のことながら状況は大きく変わっていく。一方で前著はロシアのアニメーション作家ユーリー・ノルシュテインについての(とりわけ1979年の『話の話』についての)本だったので、その中心はどうしても20世紀に置かざるを得なかった。取り上げる作品も然りである。だから、21世紀の作品を取り上げた続編が書きたかった。実際『個人的なハーモニー』は、ノルシュテイン作品をクラシカルな(もっといえばコマ撮りベースのアナログな)アニメーションを代表するものとしてではなく、デジタル以降も包括する今のアニメーションのベースを見いだそうとするのがその肝とする本だったので、この本で見いだしたことをベースに21世紀の話をするのは、まったく不自然なことではないのだ。
本の内容はタイトルのとおり、21世紀に入ってからのアニメーションの状況を語るものだが、コアの部分は『個人的なハーモニー』に書いたことの応用編(そしてさらに先の一歩)だ。前著は10年かけて準備したわけだが、そのあいだに当然のことながら状況は大きく変わっていく。一方で前著はロシアのアニメーション作家ユーリー・ノルシュテインについての(とりわけ1979年の『話の話』についての)本だったので、その中心はどうしても20世紀に置かざるを得なかった。取り上げる作品も然りである。だから、21世紀の作品を取り上げた続編が書きたかった。実際『個人的なハーモニー』は、ノルシュテイン作品をクラシカルな(もっといえばコマ撮りベースのアナログな)アニメーションを代表するものとしてではなく、デジタル以降も包括する今のアニメーションのベースを見いだそうとするのがその肝とする本だったので、この本で見いだしたことをベースに21世紀の話をするのは、まったく不自然なことではないのだ。
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