今週の映画川は三浦哲哉さんが10月17日公開のドキュメンタリー映画『ステーキ・レボリューション』(フランク・リビエラ監督)について書いてくれました。世界一美味しいステーキを求めて20ヶ国を旅するこの作品。はたして美味しい肉の基準とは、そしてその「基準」を超えるナンバーワンのステーキとはどんなものなのでしょうか。
この牛を見よ――『ステーキ・レボリューション』
文=三浦哲哉
世界のなだたるステーキの店を食べ歩き、ベスト10ランキングを決める、という趣向なのだが、1位を見てすべて納得した。
どのようなランキングであれ、それが余興であれ、どうやって選んでいるのか、という疑問が出てくる。うまい、と言っても単なる主観に過ぎないのではないか。たとえば4位と5位を分ける基準は何なのか。そもそも基準を一つに選べるのか。異なる基準が二つや三つ交じり合っているのだとすれば、さらにそれらにどう順位を付けるのか。「基準」を超える何かがあるということなのか。おそらくそうなのだ。そして、この「基準」を超える圧倒的な力が、ナンバーワンには求められるということなのだ。本作の1位にはまぎれもなくその力がある。この牛は本当に別格で、心底驚嘆し、最後まで見て本当に良かったと思わずにいられなかった。この牛に出会うためにこの旅があった、というようなすごい牛が実在する……。
2018年12月号
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