『無言日記』について 

 

文=三宅唱 

 

 SIMILABのセカンドアルバム"Mind Over Matter"の特典DVDが面白かった。LIVE映像のみならず、ツアー遠征の途中や、アルバム製作中のメンバーが記録されている、とても親密なビデオだ。そこには、猥雑で退屈でテキトウでろくでもない、一言でいうとただただ貴重な時間が映っていて、身悶えした。ちょっと引くくらい丁寧に記録されていて、リスペクトしてもしきれない。

 みてすぐに、やっぱりおれもビデオカメラが欲しい! と思った。これまで一度もビデオカメラを買ったことがない。そもそも日常的に写真を撮る習慣すらまったくない。  

 しかし去年あたりから、なんとなく気分的に、気軽にビデオを回したいと思っていた。正確にいうと、回しといたほうがなんとなくいいかも、というかんじ。面倒だけど。  

 今年の年明けから、ひとまずiPhoneで、なるべくテキトウなときにまったく無理せず、気の赴くままに撮影をしてみた。1月に香港とドイツの映画祭にいき、2月には短篇の撮影や高松で映画祭があり、3月はまた新作の撮影があって、そのときやらその合間やら、仕事したり遊んでいる間にちょこまかと撮ったり、うっかり撮り忘れたりした。一番愉しい瞬間にはカメラなど出さないし、面倒なときもわざわざ撮らない。みなおしてみると、女性、こども、動物、動くもの……くらいしか映ってなかった。天気とか。  

 いざやりはじめると、やはりいちいち抵抗感もあった。隠し撮りみたいになるし。正直、予想以上になにもないし。とはいえ一方で、香港でほぼ回し忘れたことを思うと、あれ撮っとけばよかったと後悔の念もおもいのほか強い。九龍の路上でスキヤキ食べたときの雰囲気、撮っておきたかった。  

 テキトウというのはとても難しい……といろいろ考えはじめたり、いやいやこれじゃ気軽じゃない、とぐるぐる反省もした。とはいえ、そんなことを考えることも含めて、いつか愉しくなればいいやと開き直って、このまま日々の記録を撮りためていきます。  

 今回はなんとなく人の顔を撮らなかったけれど(編集で落としたけれど)、今後撮りたくなるかもしれない。そのときは「日記で使うけどいい?」と確認します。  

 日記なんて続いた試しがないけど、せっかくなので少なくとも今年1年は続けてみます。毎月、10分くらいのビデオにします。『無言日記』なんてタイトルですが、たぶん毎回余計に文章もくっつけます。テキトウにおつきあい頂ければ幸いです。


 ※あと、不定期で「大袈裟太郎物語(仮)」も掲載してもらおうと思っています。これは、ひとりの大袈裟な男がサバイブする、フェイクとも真実ともつかない日常の記録です。


三宅唱(みやけ・しょう)

映画監督。2010年に初長編映画『やくたたず』を監督。長編第2作『Playback』は2012年のロカルノ国際映画祭に正式出品された。共著に『森﨑東党宣言!』(インスクリプト)。現在は二つの新作(『RAIDERS85』、『4時45分』)の編集中。