潜行一千里 第1回/特殊作戦コードネーム "潜行一千里” 始動

【作戦概要】
 現在、我々空族は特殊作戦である、コードネーム(以下CNと表記)"潜行一千里”を発動した。 これは特殊先遣任務につき、 今後一切記録に残らず、 任務に当たる隊員たちも"存在しない”。作戦総司令部、CN<boid>の樋口大佐にのみ現地報告を行うものである。先遣任務である以上、後に控える本作戦名、CN『バンコクナイツ』の成否は、このCN"潜行一千里”にかかっている。本作戦名からも推察できるように潜入先はタイ王国である。タイ王国、通称タイは東南アジアに位置する、国王を頂点とした立憲君主制国家であり、東にカンボジア、北にラオスとベトナム、西にミャンマーとアンダマン海があり、南はタイランド湾とマレーシア。国土はインドシナ半島の中央部とマレー半島の北部に位置し、首都のバンコクは現在、かつての日本のバブル経済絶頂期を凌ぐかという様相を呈している。


 

  

 


 それでは、ここで本作戦、CN『バンコクナイツ』の概要をもう一度確認しておく。


【ファッキングシティ・バンコク】

 タイの首都バンコクはタイ語でグルンテープと呼ばれる。意味は「天使の舞い降りる水の街で~云々」という、実際は非常に長い詩のような地名であるが、長すぎるが故にその冒頭のみを省略し「グルンテープ」と呼称される。この美しい名を持つバンコクではあるが、実態は世界中にファッキングシティと悪名を馳せる魔都としての裏の顔を持っている。
 パッポン、ナナ、ソイカウボーイなどの歓楽街が有名だが、これらの地区には世界中から娼婦を求め男たちが集まってくる。 

 

 

 


【タイにおける売春の歴史】
 我々の調査で以下のことが判明した。1969年、タイ政府とアメリカ軍の間で"R&R”

(レスト・アンド・レクリエーション)条約が締結される。これはベトナムの戦場で戦うアメリカ兵のために、休暇と保養の施設をタイが提供するというものであった。 近年、 売春地帯として発展した場所の多くが、この条約に基づいた米兵の保養施設として開発されたものである。タイ全土で100万人を超えるともいわれる娼婦たちを生んだ最大の原因は、いうまでもなく、自然発生したものなどではない。明らかに人為的に計画され生み出されたものなのである。

 我々のオペレーション、CN『バンコクナイツ』は、これらファッキングシティとしてのバンコク歓楽街を中心にタイ全土において遂行される作戦である。


 

 

 

 それでは、各エリアを見ていくことにしよう。


【タニヤ/Thaniya通り】
 CN『バンコクナイツ』の最重点エリア。バンコクのビジネス街、シーロムに実存する日本人専門の歓楽街。’70年代日本企業の海外進出と共に形成させれた街。わずか200メートルの通りに店舗がひしめき、日本語の看板がずらりと輝いている。現地では"カラオケ”の呼称で呼ばれる。実際に約一万人のタイ人娼婦たちが働いているといわれ、日本人以外の外国人は入店をゆるされず、他の売春エリアと違い非常に閉鎖的な特殊性で守られているが故に防御は堅固であり、かつてこの場所にカメラが入ったことはなく、我々空族がその防御をいかにこじ開けるかが本作戦の最大の任務となる。

 

 


 

 

 


<システム:カラオケ>

 日本特有のホステスクラブ。入店後、ひな壇にずらりと並ぶ女の中から気に入った女を指名し、酒を飲んだりカラオケを歌うなどする。その後、それぞれ女の胸につけられたバッジの色により、ロング(宿泊)、ショート(休憩2時間)などにより料金が違う。いずれも女を連れ出すにあたっては、店に"ペイバー”と呼ばれる連れ出し料金を払うことになる。"ペイバー”はすべてのエリアに共通し、売春が法律上は禁止されているタイにおいて、出店後は自由恋愛であるという建前になっているのだ。

 

 

 

     

【タイにおける娼婦】

 歓楽街と一口に言っても、ゴーゴーバー、 カラオケ、 マッサージパーラー、バービア、街娼、置屋等々、様々なスタイルの娼婦たちが存在する。


 本日はここまでとするが、作戦本部は既に現地に2名の隊員、CNトラツキとCNカーツヤを派遣しており、いずれ2名により、特殊先遣任務、CN"潜行一千里”における、現地報告が随時入ることになるであろうが、その前に引き続きしばらくの間、本大作戦へ向けた意思疎通を図るべく、CN"バンコクナイツ”の概要確認をしていくこととする。

 

  

    

 

空族(くぞく)

現代におけるインディペンデント・シネマを「活動」として実践する映像制作集団。近作に『サウダーヂ』(富田克也監督)『バビロン2 ‐THE OZAWA‐』(相澤虎之助監督)『チェンライの娘』(富田監督)など。