boid社長の樋口泰人が日々の仕事やそのなかで夢想する企画などについて記す「幻聴繁盛記」を先週に続いてお届けします。メニエール病による耳鳴りやめまいが続くなかで参加したふたつのイヴェント、湯浅学さん&直枝政広さんとレコードを聴いて話す「アナログばか一代」と三宅唱監督の『無言日記2015』プレミア上映のこと。

『無言日記2015』より



文=樋口泰人


 メニエールが全然治らない。というか、これまでの2回の大波も普通に生活できるようになるまで6ヵ月かかったので、まだ半分の3ヵ月。何とか仕事ができているだけこれまでよりもましということになるのだが、しかしその分無理してしまっているので、やはり簡単には治らない。できる限り「自分」の輪郭を崩しボーっとして何者でもないものになることが肝心である。だから何かを観ようとしたり聴こうとしたり話そうとしたり書こうとしたり、というまさに自分の仕事に関わるすべてがダメ。大勢の人が話している中にいると、回りじゅうの話し声が頭の中に鳴り響き、ただひたすら拷問。というわけでほぼすべてのお誘いを断っているのだけど、自らの企画、イヴェントとなると話は別なので、その時だけの勢いでやるしかない。

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