アーティストの毛利悠子さんの連載「毛利悠子のプラスチックフォレスト インド編」です。インド・ケララ地方で開催中の「コーチ=ムジリズ・ビエンナーレ2016」のためコーチへ滞在した毛利さん、他の参加作家たちの作品のスケールの違い、現場の人たちとのコミュニケーション、展示会場に現れてくる様々な生き物など、これまでとは全く勝手の違う環境の設営現場から溢れてくる話とは。



野良ヤギがたくさんいるコーチ


文・写真=毛利悠子


 インドはこれまでの設営人生のなかで一番大変だったかもしれない。
 訪問した目的は、インドのケララ地方にあるコーチという街で開かれる、「コーチ=ムジリズ・ビエンナーレ2016」への出展作品を設営するためだ。ビエンナーレといっても、街なかに美術館があるわけではないので、元はイギリスの会社があった建物の廃墟がメインの展覧会場になっている。
 コーチの歴史はとても古く、大航海時代にポルトガル、オランダ、イギリスといったさまざまな国の植民地だったことが影響し、いろんなデザインの建造物が入り乱れ、不思議な風景を作っている。ヴァスコ・ダ・ガマはこの街で死んで、お墓もここにあるという。元は「コチン Cochin」と呼ばれていて、細野晴臣さんと横尾忠則さんのアルバム『コチンの月』はこの街から名が取られたと説明すれば、何となくわかった気になる方も多いのではないだろうか。

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