
『無言日記2015』より
文=樋口泰人
メニエールが全然治らない。というか、これまでの2回の大波も普通に生活できるようになるまで6ヵ月かかったので、まだ半分の3ヵ月。何とか仕事ができているだけこれまでよりもましということになるのだが、しかしその分無理してしまっているので、やはり簡単には治らない。できる限り「自分」の輪郭を崩しボーっとして何者でもないものになることが肝心である。だから何かを観ようとしたり聴こうとしたり話そうとしたり書こうとしたり、というまさに自分の仕事に関わるすべてがダメ。大勢の人が話している中にいると、回りじゅうの話し声が頭の中に鳴り響き、ただひたすら拷問。というわけでほぼすべてのお誘いを断っているのだけど、自らの企画、イヴェントとなると話は別なので、その時だけの勢いでやるしかない。
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