
文=鍵和田啓介
ゾンビ映画において、人間はゾンビを殺していいことになっている。ゾンビ映画とひと口にいっても多岐に渡るものの、おそらくこのルールだけは共通している。 なぜか? なぜ殺していいのか? 人間とゾンビでは"意思疎通できない”からだ、とひとまず言えるだろう。"意思疎通できない”から、交渉の余地なく襲ってくるから、殺していいのだ、と。だから、さっきまで手を取り合っていた仲間ですらもゾンビ化するや否や殺してしまうし、ゾンビ化することが決定した人間にしても「自分がゾンビになったら殺してくれ」と尊厳死を乞う。このルールを念頭に置きつつ、『高慢と偏見とゾンビ』を見てみよう。
読者コメント