山村浩二『サティの「パラード」』
忘れ去られていくなかで
文・写真=土居伸彰
boidマガジンがお休みの間に、6月にザグレブとアヌシー、8月に広島の国際アニメーション映画祭を訪問した。ザグレブと広島、昔ながらのアニメーション映画祭の伝統に則る二つの映画祭はますます活気を失い自己反復をしつづけているように思え、一方、商業的でないことをひとつの価値とする伝統的なアニメーション映画祭観からいち早く脱し、いまやハリウッドさえもその存在を重視するようになったアヌシーは、ますます一人勝ち感を高めていっているように思えた。アヌシーには世界中のアニメーション関係者が集まって、なんというか、参勤交代のような様相さえ呈してきている。
今年はアニメーション長編の当たり年だと思う。ザグレブとアヌシーで心から堪能できたと感じたのは、少数の例外を除いてほぼ長編だった。
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