今年から京都に仮寓を構えた青山真治さんによる日付のない日記「宝ヶ池の沈まぬ亀」第4回をお届けします。夏の猛暑を乗り切ったかにみえた季節の変わり目に、食欲の減退とともに低血糖が発生し、体調を崩してしまった青山さん。現実の妻の介護とともに救いとなった『夏目漱石の妻』、そしてクリント・イーストウッド最新作のことなど。



文・写真=青山真治



4、真夏に亀は二度死ぬ

某月某日、季節柄で調子がおかしくなるのは明らかに昨夏の体力払底に由来するが例えばマーク・ボランが生涯筋トレしていたとは想えずだからこそ三十前の自死を予言したのだろうしとそのビブラートに耳を傾けつつ考え至るやそこへ行くと己などなかなか生命力ある個体ではないかなどと悠長に構えはじめるから不思議だ。そもそもアルコヲルを断って一年目と現在のこの不調とがほぼ同時ゆえに原因もわかるようなわからぬような。
某月某日、すでに誰もがそこたぶん問題だよねと概ね気付いていた豊洲がいよいよ注目されてもすでに興味など持てるはずなくそれより「アナばかニューオリンズ特集」が圧倒的に気になって仕方がない。今回最大の発見はすでに何度もCDで聴いていたはずのアラン・トゥーサン Everything I do gonh be funkyがストーンズ It’s only rock’n’rollの、何というか元ネタというとちょっと違う、同じ「種族」(イントロから歌の頭が取りにくい、たとえば直枝さん曰くのはっぴいえんど抱きしめたいなど)の楽曲だと気づかされたことで、レコード針やピックアップのことがとんとわかっていない機械音痴にとってこういう発見こそが「アナログばか一代」の本領だなどとこれまたひとり悦に入ったのだった。

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