boidマガジン

2016年11月号 vol.1

『宇宙の柳、たましいの下着』放浪篇 #23 (直枝政広)

2016年11月06日 02:35 by boid
カーネーションの直枝政広さんがオーディオの工作や改良に奮闘する日々の中で出会った音について綴る『宇宙の柳、たましいの下着』放浪篇、第23回です。最近急激に目が悪くなったという直枝さんですが、努めて本を読むようにすると一晩で800ページの本を読むこともできたそう。身体が衰えてきてもメンテナンスや使い方次第で得意なことならやれるはず。それはオーディオやパソコン機器にも通じることで――



乱視の果て


文=直枝政広


 急激に目が悪くなった。老眼がすすんでいる。手元の食事の色艶がはっきりしないとその旨味もぼやけることをいよいよ認識することになった。眼鏡をかけると今度は物が大きく見えて食べにくい。なので結局は外してぼやけた世界に存在する食べ物を食べる。バンド・メンバーには普段から老眼鏡をかけっぱなしの強者もいる。手元ならまだしも、かけっぱなしで歩けばふらつくだろうにそのままライヴができたりするのだから驚きである。
 親譲りのひどい乱視もある。父親からは視力の他にへその横の小さなほくろのようなものと、お餅をいくらでも食べられる強靭な胃袋を譲り受けている。車を運転する時は必ず眼鏡をかける。眼鏡がないと夜などは信号が乱反射しことのほかスペイシーで美しいがとても危険だ。世の中には目も悪くないのにダテ眼鏡をかけているおしゃれな人もいるけれど、経験上、いくら目が良い人でも45歳を過ぎれば目は衰えてくるのだし、鼻当ての痛みなんて無駄に経験しないほうがいい。変な痕も残る。若いうちは裸眼でこってりラーメンを十分に楽しむべきだ。
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