boidマガジンで「ヒスロム日記」と「人と伝書鳩」を連載中の3人組のアーティスト集団・ヒスロムのこれまでの活動を紹介する「ヒスロム活動紹介展示」が2月21日(火)までせんだいメディアテークで開催中です。ヒスロムは現在、同所で来年開催予定の展覧会に向けた調査や制作を進行しており、今回の展示はその一環として開催されているものです。ここでは普段boidマガジンの裏方として編集作業を担当している黒岩が同展を訪れて書いたレポートを掲載します。ヒスロムの連載と併せてご覧いただければ幸いです。




文・写真=黒岩幹子


 1月24日、上野から「やまびこ」に乗って仙台へ向かう。列車が北上していくにつれ車窓からは雪景色が見えるようになり、福島の手前で山形新幹線が大雪の影響で区間運休をしていることを知らせるアナウンスが流れる。仙台でも雪は降っているだろうか。一番厚いダウンジャケットを着てきたとはいえ、ほとんど着の身着のまま身の回りのものを入れた小さなトートバックひとつで遠出してしまったことに一抹の不安をおぼえる。新幹線に乗るのも数年ぶりだ。
 かように旅慣れぬ私が、せんだいメディアテークで開かれている「ヒスロム活動紹介展示」を観に行くことに決めたのは、ほんの数日前のこと。こうして記事を書くという目的はあったものの、そこに行くこと自体は衝動的に決めてしまった。せんだいメディアテークでの展覧会本番は来年2018年に予定されており、今回の展示はあくまでその前段階、イントロダクション的なものとして開催されていることも把握していたのだが、何かに突き動かされるように思い立ち、出かけることにした。
 実は私はこれまでヒスロムの展覧会やパフォーマンスを観に行ったことがない。彼らの存在や活動を知ったのも、彼らがこのboidマガジンで「ヒスロム日記」を連載するようになってからだ。連載第1回に掲載された2本の動画――靴下と靴のみを履いた2人の青年が伐採された木や枝の山から突き出た1本の枝をぶら下がったり、ロープで引っ張って抜こうとしているかと思えば、もう一方の映像では高台の草むらにいる3人が眼下に見える公園で遊ぶ子供たちに向かって「隕石だー!」「猪が降りて来たー!」と叫び続ける(子供たちに「嘘をつくな、クソじじい」と返されながらも)――を見て、この人たちは一体何なんだと度肝を抜かれた。「バカやってらあ」と笑わされながら、同時に羨望の念を抱いた。
 その後、約1年半の間にヒスロムはトラックに作品を積んで全国4都市を回ったツアー「まちをみてきく - 総重量3トンの道中伝記-」や、岐阜で切り出した丸太を庄内川に沿って名古屋港まで運んだという「アッセンブリッジ・ナゴヤ2016」でのパフォーマンスなど、様々な場所で制作や展示を行ってきたが、私は目の前の仕事を理由にそのいずれにも足を運べないままでいた。そうやってうかうかしている間にも、せんだいメディアテークでの制作・展覧会、さらにはポーランドでの展示が予定されていることを先月号の「ヒスロム日記」で知り、こうして見逃している間にヒスロムがどんどん活動の場を拡げていっているようで、どこか焦る気持ちがあったのだろう。パソコンの前に根を張るように座ってばかりの生活にじりじりしていたのも相俟って、とにかく今行ける展示に行こうと思ったのだった。

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