
文=Soi48
ついにSoi48が本を出版します!タイトルは『TRIP TO ISAN : 旅するタイ・イサーン音楽ディスク・ガイド』。今までDJ、トークショー、映画祭、タイ音楽の公式再発など様々な活動をしてきましたが、タイ音楽をみんなに聞いて欲しい、もっと知って楽しんで欲しいという僕らの思いが形になりました。インターネットやSNSを駆使すればわざわざ現地に行かなくてもレコードやカセットが手に入る時代になぜ僕らは旅にこだわったのか?そして旅先で出会ったモーラム歌手、ルークトゥン歌手、レコード・コレクター、街の人々との交流について書いています。旅の写真から貴重な70-80年代の写真も数多く掲載しているので音楽マニアだけでなく、タイ、イサーンの文化に興味を持った人も楽しめる内容になっています。ただでさえ楽しいのに知識を得るとより中毒になるタイ音楽。発売日は4月8日。皆様是非チェックしてみてください。今回boidマガジンで紹介するのはタイで一番最初に録音されたモーラムのレコードの話。いったいその中身とは?!
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伝説のモーラム!タイで最初に作られたモーラムのレコード

モーラム・クーン(ヒー)
タイで最初に作られたモーラムのレコードが欲しい。タイ音楽に限らずレコード・コレクターの浪漫である。Soi48は所謂レコード・マニアでは無いけれどモーラムとなれば話が別だ。カタログを揃えたい、全て聞いてみたいといった欲望が沸々と湧いてくる。
アンカナーン・クンチャイとポー・サラートノーイと食事している時、興味本意で「タイで最初に作られたモーラムのレコードってなんですか?」と尋ねてみた。すると意外にもすぐに答えが返ってきた。2人は笑いをこらえながら最初のレコードを作ったモーラム歌手「モーラム・クーン(ヒー)」について教えてくれた。
彼らが笑ったのは名前が理由だった。ヒーとはタイ語で女性器の意味であまりにも面白いモーラムだからそういうあだ名がつけられたらしい。
モーラム・クーン(ヒー)ことクーン・ターウォンポンは1902年ウボン・ラーチャーターニー生まれ。ケーン・ダーラオが1930生まれだからそれよりかなり上の世代のモーラムということになる。
彼の特徴は巧みなしゃべりにあったらしい。ラムクローンプゥーア(下ネタ)からユーモアのある話で民衆を笑わせイサーンで知らないものがいないほどの有名モーラムになった。当時は牛車や徒歩でイサーンの村々を転々と回って巡業していた。もちろんマイクやスピーカーがなく、地声のみで歌い、遠くまで響き渡った声を聞いて村人がモーラムの周りに集まるというのが当時のスタイルだった。この雰囲気は映画『東北タイの子』のモーラムが村にやって来るシーンでよく描かれている。
東北タイの子
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