世界中のアニメーションの評論や上映活動を精力的に行なっている土居伸彰さんの連載「Animation Unrelated」第35回は、いよいよ来週に迫った「新千歳空港国際アニメーション映画祭2016」の見どころをたっぷりご紹介します。「今」にフォーカスを当てたアニメーション映画祭ならではのプログラムは、現在大ヒット中の『君の名は。』やこれから公開される『この世界の片隅に』(新千歳でも上映)、ユーリー・ノルシュテインの特集上映など、今年アニメーションに起こった大きな流れとも深く関わっているようです。

ぬQによる新千歳空港国際アニメーション映画祭2016メインビジュアル



日常の足場を確認する


文=土居伸彰


 今年も新千歳空港国際アニメーション映画祭の時期がやってきた。3年前から始まった、新千歳空港のターミナルビル内だけですべてが完結する世界で唯一の「空港映画祭」。僕は今年もフェスティバル・ディレクターとして仕事させてもらっている。今年は11月3日から6日の開催。今回はそのプログラムの紹介をしたい。

 新千歳は、GEORAMAとはまた別のベクトルで、僕自身のアニメーション観と最近の発見が凝縮された催しだ。
 新千歳は「今」にフォーカスを当てようと考えていて、旬の作品を集めるのがまずは僕の役割となる。先発の他のフェスに対して、質と多様性と未来への見通しで圧倒することを目指している。メインプログラムの短編アニメーションを対象にしたコンペティションが、その意図を最も凝縮して伝えてくれるだろう。僕はコンペティションの選考委員も担当しているのだが、今年は3年間で最も強力なセレクションになったと思う。
 この連載でも以前取り上げた山村浩二の『サティの「パラード」』やイゴール・コヴァリョフの『ビフォア・ラブ』といった巨匠たちの新作はもちろんのこと、かなり「変わった」作品もたくさん入った。とりわけ、インターナショナル・コンペティション2に強烈なものが揃っている……たとえば下のやつとか。

この記事は登録読者だけが閲覧可能な内容を含みます。続きを読むにはPublishers IDによる読者登録が必要です。