『ミュージック・マガジン』掲載のヒップホップ・アルバム・レヴューを再録しています「大音海の岸辺」第25回。中編はスヌープ・(ドギー・)ドッグやNASのデビュー・アルバム、ギャング・スターやビースティ・ボーイズの名盤が登場する1994年2月号~8月号のレヴューをご覧ください。

スヌープ・ドギー・ドッグ『ドギー・スタイル』



文=湯浅学


スヌープ・ドギー・ドッグ『ドギー・スタイル』
ドクター・ドレーが心底見込んだだけのことはある。仕掛け、構成、音作り、見事な悪党ぶりだ。しかしサウンド面での演出もさることながら、自然体でありつつ絶妙の語り口、節まわし、言葉の切れ味を持つラッピンこそが最大の魅力だ。笑いながら殺す奴。(9)

アイス・キューブ『致死量~リーサル・インジェクション~』

 キツイ白人攻撃、ジョージ・クリントンとの共演による「バップ・ガン」のリメイクなど、聴きどころはいつもながらたっぷりあるが、全体になぜこんなにユルイんでしょう。キューブ版ニュー・ソウルってことか。(8)

トゥー・ショート『ゲット・イン・ホエア・ユー・フィット・イン』

 間を強調、というかスカッとした音作りはかえってこいつの図太さを表現するのに役立っているわけである。通算五作目も快調な作品となった。女性攻撃も相変わらず。(8)

デル・ザ・ファンキー・ホモサピエン『ノー・ニード・フォー・アラーム』

 アイス・キューブの従弟、そのセカンド(日本デビュー盤)。前作で満開だったPファンクのりはだいぶ鳴りをひそめ、音作りは硬派。その分ラッピンがひき立った。フリー・スタイルでどんどん行く言葉に精気十分。(8)

クイーン・ラティファ『ブラック・レイン』

 移籍第1作は、思ったより平板。ラッピンが丸くなったように思えるほどで、ジャケ写とはウラハラ。ヘヴィ・D、KRS・ワン、ノーティのふたりなども参加。力がうまく抜けているところにむしろ、新展開の芽がある。(7)

ルシャス・ジャクソン『イン・サーチ・オブ・メニー』

 ニューヨークの娘4人組。元ビースティのドラマー=ケイトも参加。クールにささやきはするが、何するかわからんあやうさがたっぷり漂っている。スリッツに通じるものあり。(8)

K7『SWING BATTA SWING』

 キャブ・キャロウェイ「ミニー・ザ・ムーチャー」もネタとして取り入れる心にくい男のデビュー作。全体的には地味め。ラップより歌うほうが向いてるんじゃないの。(7)

ジャラール『ハスラーズ・コンヴェンション・ウィズ・ドリエラ・ドゥ・ファンテイン・アンド・O.D.』
 ラスト・ポエッツのジャラールがライトニン・ロッド名義で72年にリリースしたアルバムに、ジミ・ヘンドリックスの(バディ・マイルスとジミのデュオ。ジミはベースもオーヴァー・ダヴ)未発表曲にジャラールが詩を乗せたものを加えてのCD化。クール&ザ・ギャング、キング・カーティス周辺の人々などがバックをしっかり固めて、ハスラー生活が臭気ぷんぷんに描かれている。(9)

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